耳璫 じとう
耳璫
じとう
古代中国の女性の耳飾。後漢の劉煕が著した『釈名』に見える「璫」を出土例にあてた名称である。「詩経」などに見える「瑱」であるとして、耳孔に挿入したとする説もあるが、出土例・民族例・漢代の舞踏俑から、耳たぶの穿孔部に挿入したものとされる。長さ2㎝前後で、形態的に鼓状と漏斗状があり、中心の一孔に紐を通して垂飾をつける。材質はガラスが主であるが、一部に鉄・銀・瑪瑙・石炭・琥珀・骨・象牙などが見られる。起源地はアジア南部とし、中国のガラス製耳璫は、ガラスの原料と製作技術が西方から伝わって出現したとする説があるが、考古資料からは中国遼東地方が有力とされる。漢代の中原で盛行し、インドシナ・中央アジア・日本・台湾に伝播する。福岡県平原遺跡などごくわずかな発見例がある。福岡県須玖岡本・立岩遺跡の塞杆状ガラス器は塞杆、耳辺の飾玉・耳璫・首飾・首飾付属品という諸説があるが、中国東北部で成立した笄・簪に起源がある髪飾とする意見がある。
(嶋田光一)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
瑱
テン
意味:みみだま、美しい玉
笄
ケイ、こうがい、かんざし
簪
サン、シン、かざ(す)、かんざし、はや(い)
