修羅 しゅら

修羅
しゅら

修羅という名称は天文元年(1532)の『燼添壒嚢鈔(じんてんあいのうしょう)』に「石引物ヲシュラトハ何事ソ 帝釋大石ヲ動カス事脩羅ニアラズハアルベカラズ。 テ名ツクト云云」とあり、大石(帝釈)を動かせるのは修羅(阿修羅)しかいないとして使用される。近年まで主に、石引きなど重量物運搬の木ゾリや木材の運搬装置についてこう呼称した。ただし、1978年(昭和53)に大阪府藤井寺市道明寺土師の里遺跡、5世紀中頃の三ツ塚古墳周溝内より長さ8.75m、幅1.85mあるアカガシ製の大型・Y字形ソリが出土したことで、これにその呼称が与えられ、考古遺物の名称としても著名なものになった。以降に出土した同形のソリである京都市鹿苑寺庭園出土のものもこう呼ばれる。14・15世紀に相当する長さ4.7mのものであるが、いずれも二股に分かれる木の付け根付近に牽引用と考える孔が直交して穿たれる構造である。同形のY字形木ゾリは宮城・福島・岐阜県の日本列島や、朝鮮半島・東南アジア・北ヨーロッパなどに広く分布する。

(一瀬和夫)

以上、転載

 

 

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