籌木 ちゅうぎ

籌木
ちゅうぎ

排便の後始末をする木片のこと。「ちょうぎ」「くそべら(糞箆)」とも呼ばれる。長さ20〜30㎝、幅1.5㎝前後、厚さ約5㎜の大きさのものを使う。割り箸状に粗く削ったものが一般的であるが、宮都や官衙関連遺跡では、反古になった木簡を割って籌木に転用したものも多い。この場合は比較的小振りな作りで、表面の削りも丁寧で、先端を箆状に尖らしたものもある。平安時代末頃までは、トイレ遺構および関連遺構内に堆積した糞便と一緒に出土する例が多いが、鎌倉時代以降は少なくなる。民俗例でも、使用済みの籌木は便槽に落とさず、別に集め田畑で焼いて処理することが知られているから、人糞の肥料への利用開始とも関係するのであろうか。また発掘現場では、「きめの細かい艶やかな黒色土」と「ウリの種実」とともに、トイレ遺構の可能性を示唆する有力な手がかりである、寄生虫卵分析を含む土壌の化学分析を行い、トイレ遺構であるかを検証したいものである。

(黒崎直)

以上、転載