封泥 ふうでい

封泥
ふうでい

古代中国で、封印に用いられた粘土塊。現在では戦国時代にさかのぼるものまで確認されているが、盛行したのは秦・漢時代である。紙の普及以前の中国では、文書は木簡・竹簡に書かれた。木簡・竹簡は訂正も容易であるが、同様に改竄も容易であるため、厳重に封緘する必要があった。新疆ウイグル自治区ニヤ遺跡出土例では、木簡・竹簡を重ね合わせ、その上に検と呼ばれる厚手の木板を重ね、その上の璽室と呼ばれる掘り込みに紐を通して緊縛し、粘土で包んで押印してから封印している。古代印章の多くは文字が陰刻であるから、封泥では文字が突出し、判読が容易となる。朝鮮半島では、戦前の調査によりピョンヤンの楽浪土城から封泥、印章の出土が確認されている。戦後、北朝鮮では偽作説も提起された。日本ではいまだ発見例がなく、印章について「漢委奴国王」金印の出土が知られている。

(宮井善朗)

以上、転載

 

 

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