卜骨 ぼっこつ

卜骨
ぼっこつ

占いのために用いられた動物骨(主に肩甲骨)を卜骨という。骨を利用した占いの方法は、東アジアに広く分布し、日本では弥生時代以降に見られ、現在も一部神社の神事として伝承されている。骨による占いには無灼法と有灼法があり、有灼法は焼灼してそれによる亀裂で吉凶を占うもので、全面有灼法と点状有灼法がある。考古学的には無灼法は確認不可能で、全面有灼法も確認に困難が伴う。中国の点状有灼法には、Ⅰ式:整治・鑽・鑿なし、Ⅱ式:整治、Ⅲ式:整修・鑽、Ⅳ式:整治・鑽・鑿、Ⅴ式:整治・鑿を行う、各方式がある。新石器時代にはⅠ・Ⅱ式が多く、Ⅲ式が散見されるが、中国では殷・商時代に入ると、Ⅲ・Ⅳ式が多くⅠ・Ⅱ式も存在する。動物種ではヒツジ・シカ・イノシシ(ブタ)はⅠ・Ⅱ式、シカ・ブタ・ウシはⅢ式、ウシ・カメはⅣ・Ⅴ式に見られる。弥生時代の卜骨(点状焼灼)は中期後半・後期以降に見られ、シカ・イノシシの肩甲骨を使用する例が多い。ほとんどがⅠ式で、Ⅱ式は壱岐島などで出土している。Ⅲ式以降は古墳時代から見られ、それに亀卜も加わる。しかし、弥生時代前期とされる島根県古浦遺跡ではⅢ式(長管骨製)が例外的に存在する。弥生時代の卜骨は中国北辺部の狩猟・牧畜民例と類似し、朝鮮半島を経て伝播したと考えられる。

(木村幾多郎)

以上、転載