矢柄研磨器 やがらけんまき
矢柄研磨器
やがらけんまき
断面が蒲鉾型の平坦な面に1条の溝を有する砥石で、同形の砥石の溝と溝を重ね合わせ、その間に矢柄を通して上下に擦り磨き矢柄の曲がりを矯正する道具。山内清男は、シベリアの矢柄研磨器と、縄文時代草創期の有溝砥石との類似性に着目し、それらを石鏃の出現と対応する渡来石器として、縄文時代の起源をBC2500年と論じた。有溝砥石の用途については、この矢柄研磨器の名称によって代表され、編年的にも草創期の特徴的な石器として位置づけられてきた。しかし、近年では複数の溝を有するものをはじめ、多様な形態とその変遷の実態が把握され、矢柄研磨器とされる規則的な形態を持つ例はむしろ少なく、旧石器時代から弥生時代の長期にわたって存続する石器として、従来の用途や時期を限定した用語の使い方を修正する考え方が強い。また、縄文時代における有溝砥石の発達の背景としては、磨製石器とともに盛行する骨角器や玉類の研磨が大きな要因と考えられる。
(大竹幸恵)
以上、転載
