柳園古器略考 りゅうえんこきりゃっこう
柳園古器略考
りゅうえんこきりゃっこう
1822年(文政5)国学者で福岡藩士の青柳種信(1766〜1835)が著した著書。これには、同年に発見された「怡土郡三雲村所掘出古器図考」「同郡井原村所掘出古鏡図考」「志摩郡誓願寺蔵呉越王塔考」の3編が収められ、特に三雲南小路発見の甕棺墓の記録が出土品の図を掲載し、学史的に有名である。三雲南小路遺跡は、1974年(昭和49)に福岡県教委が調査して、その実態が明らかになったが、甕棺内外の副葬品の出土状態は、『柳園古器略考』の詳細な記述に頼らねばならない。出土品の説明においても、鏡が前漢のものであることに気づいているなど考古学的な論攷となっている。もう1編は、井原鑓溝遺跡の鏡や巴形銅器の拓本が掲載されている。井原鑓溝遺跡は現在追跡調査しているが、まだ遺構を確認していないので、出土品は掲載された拓本が唯一の資料である。
(柳田康雄)
以上、転載
