轆轤 ろくろ

轆轤
ろくろ

回転運動によって生じる遠心力を利用して、土器(製陶)、木器(木工)、金属(金工)などの製品を作るのに用いる。土器の場合、粘土の塊を材料にしておおよそ容器の形を作り出すのに用い、細部の調整・仕上げにも使う。轆轤は水平な円盤と、その下面中心から垂直に支える回転軸と、それを受ける軸受けからなる。ただし木工用の轆轤には作業用の円盤はなく、回転軸は横方向に水平に置かれ、その一端に加工すべき材が取り付けられ、回転軸にからげた紐を助手が交互に引いて回転させ、刃物で一方から削る。

中国の龍山文化に属する山東省両城鎮の黒陶は轆轤製で、なかには卵殻陶と呼ばれる薄い精巧な土器がある。戦国時代後期には、燕の灰色系土器が華北平原から遼寧省南部に展開するが、その影響を受けた中国東北地方の撫順蓮花堡、朝鮮・平安北道細竹里では轆轤仕上げの縄蓆文灰色系土器が分布する。楽浪土城出土の泥質灰色土器には、轆轤もしくは回転台を用いた土器があり、戦国時代以来の燕系の製陶技術の系譜を引くものがある。朝鮮南部の韓の諸国でも、轆轤と還元焔焼成の窯で焼く新しい土器製作技術が登場していわゆる「瓦質土器」が成立し、やがて朝鮮・三国時代の陶質土器に発展する。日本では縄文土器・弥生土器、古墳時代の土師器に轆轤による製作技術はなく、5世紀に須恵器が伝わってからは確実に導入されている。9世紀になると底面に「糸切り」痕を残したままの坏・埦が見られる。木工用轆轤は弥生時代からあり、奈良県唐古・鍵遺跡では轆轤で製作された木製高坏がある。滑車などを用いて重量物を移動する装置も轆轤というが、実例がほとんど残っていない。楽浪出土の青銅製燭台は蓋の半分が開口し、轆轤灯と呼ばれる。

(中山清隆)

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