栫ノ原型石斧 かこいのはらがたせきふ
栫ノ原型石斧
かこいのはらがたせきふ
1992・93年(平成4・5)に、鹿児島県南さつま市(旧加世田市)加世田栫ノ原遺跡の縄文時代草創期(約12000年前)の文化層から出土した資料を標準型式として命名された石斧の一形態。栫ノ原型石斧の特徴は、まず敲打技法で石斧の身を円筒状に整形したのち、全面を研磨で仕上げる。刃部は裏側を丸鑿状に湾曲させているのが特徴である。そして石斧の頭部を亀頭状に膨らみを持たせた磨製石斧である。その形態から木材伐採や加工具で、特に丸木舟の製作に使われた道具と考えられる。これまでの定説では、この形態(円筒石斧)は、新しい時期(約3000年前以降)のものと考えられていた。しかし、栫ノ原遺跡や鹿児島市掃除山遺跡などで、桜島起源の薩摩火山灰(約11500年前)の下位から発見されることから、南九州では縄文時代草創期の産物であることが判明した。その分布は、南は沖縄本島から奄美諸島・鹿児島本土、さらに宮崎南部から長崎県五島列島の、いわゆる黒潮ルートに沿った地域に見られる。
(新東晃一)
以上、転載
