「の」字状石製品 「の」じじょうせきせいひん
「の」字状石製品
「の」じじょうせきせいひん
「の」字状石製品は、縄文時代前期から中期の垂飾品である。中央に大きな穿孔を持ち全体がリング形で環の上部に小穿孔が1ないし2見られ、その環の一部が「の」字状の尾部を形成しており、厚さ3㎜、直径5㎝内外を測るものが主体で、南海産のイモガイなどを模したものとされている。現在のところ、北は北海道手宮公園下遺跡、西は岡山県里木貝塚、南は東京都八丈島輪倉遺跡など全国で16例が発見されており、中部・北陸・東北南部に集中する傾向にある。本資料は型式的には新潟県南赤坂遺跡のようなポピュラーな「の」字状を呈するタイプ(A型)、「の」字状の尾部の抉りが深く入る長野県松原遺跡のタイプ(B型)、イモガイよりはゴホウラを輪切りにしたような福島県牛頭場遺跡のタイプ(C型)と3タイプに大別できる。古代中国の玉類にも「の」字状石製品に類似する玉璇璣が有、近年両者の関連が注目されている。「の」字状石製品と呼称されている資料の中にも、手宮公園下遺跡や神奈川県権田原遺跡のように、抉りが2ヵ所あるものがあり、これはより玉璇璣に酷似するため「の」字状石製品と区別(M字状石製品)する必要がある。
(大竹憲治)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
璇
セン、たま
璣
キ
