アマルガム あまるがむ

アマルガム
あまるがむ

水銀と他の金属との合金。この名称は、ギリシア語の「やわらかいもの」という意味の言葉に由来する。水銀は金・銀・銅・鉛・亜鉛など、多くの金属と容易に合金を作る。金属の含有量により液体、ペースト状あるいは固体となるが、他の合金に比べて融点が低いので、温めると液化あるいは軟化する特性を持つ。古来より青銅の表面を金色に輝かせた金銅製品を作る技法として、金アマルガム法が採用されていた。金と水銀のアマルガムを金属表面に塗布し、加熱して水銀を蒸発させる方法である。日本では5世紀以降に金銅製品が急増するが、文献に登場する金アマルガムの記事は正倉院に伝来する「造仏所作物帳」に見られる。そこでは金と水銀が1:6という整数比で配合されていたことがわかる。天平時代にはこの方法を「金滅塗金」と呼び、平安時代の延喜式では「滅金師」という官制が認められる。この「滅金」が現代の「めっき」の語源と考えられている。

(本田光子)

以上、転載