板状鉄斧 いたじょうてっぷ
板状鉄斧
いたじょうてっぷ
長方形板状鉄板の一辺に、両刃や片刃をつけた鍛造の斧頭であり、伐採斧あるいは加工斧として使用された。この名称は弥生時代の例について、1972年(昭和47)川越哲志が提唱したものである。これに対し、同様の古墳時代の例は短冊形鉄斧と呼ばれ、厳密には時代で区別されている。弥生時代前期末に鋳造鉄器片を再加工した小型板状鉄斧が登場し、中期中葉以降、鍛造板状・袋状鉄斧に徐々に代替されるが、終末期まで再加工品が存続する地域もある。板状鉄斧と命名した川越は磨製石器に替わって、日本列島内における成立と展開を想定したが、その後中国・朝鮮半島でも大型・小型の板状鉄斧が知られるようになった。中国では刮刀・薄刃刀と呼ばれ、戦国時代後期に燕国から東北地方に及び、その一端が朝鮮半島にもとどき生産が開始された。特に朝鮮半島では、特異な副葬品としての位置を占め、その形態を少しずつ変えながら三国時代には鉄鋌に替わっていったという説がある。
(村上恭通)
以上、転載
