甗 げん
甗
げん
yen
中国古代の蒸し器。鬲形の下半部の上に、鉢形の甑が合体してつけられ、その連結部内には作りつけ、または別作りの簀が設置されていて、鬲部で水を沸かし、甑部で食物を蒸す仕掛けになっている。新石器時代後期に中原地方を中心に土器製の甑が出現し、広範囲に分布する。おそらく鬲が発達したこの時期に甑と一体化した甗も普及したのであろう。二里岡期以降には青銅製の甗も製作されるが、数量は少なく、文様もごく簡単な実用性の高いものである。殷墟では甑部に人頭骨が入ったままの甗が数例見つかっている。特殊な犠牲の祭祀が行われていたのかもしれない。その後、春秋時代まで三足、または四足を持つ青銅製の甗がつくられ続ける。日用の土器としては、別々に作られた鬲と甑を併用する方が簡便なためか、両者が合体した甗は全般にさほど多くなかったが、西周時代以降にはほとんど見られなくなる。
(難波純子)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
鬲
レキ
甑
こしき
