巴形銅器 ともえがたどうき

巴形銅器
ともえがたどうき

巴形銅器は、弥生時代後期に現れた青銅器の一つで、古墳時代前期初頭までに一旦衰退し、古墳時代前期後半に異なった形状をもって再度出現する。形状は、内部に紐を持った扁平形・半球形・截頭円錐形・円錐形・円板形(紐なく穿孔)の座とその下部に水平につけられた4・5・6・7・8(9?)本の鉤状の脚からなる。弥生時代のものは、甕棺の副葬品が中心であるが、埋納例や遺棄と推定されるものもある。2006年現在で18遺跡32点が出土しているといわれ、北部九州地域を中心に、九州地方から中部地方までの広がりを持つ。全径5〜6㎝の小型の半球形座6脚と、全径10〜16㎝の大型の截頭円錐形座7ないし8脚で、左捩りのものが主体を占める。現在のところ4脚のものは確認されていない。一方、古墳時代のものは、2006年現在93点が知られている。帰属時期不確定、出土地不詳を除くと全径4〜6㎝の小型と10〜12㎝の大型の円錐形座4脚がほとんどであるが、小型品と大型品が併存することがなく、捩りの方向には極端な偏りがない。

その用途は、古墳時代では盾や靫に着装された事例が知られているが、他の副葬品とともに単体として収納された事例も存在する。弥生時代ではその用途が不明で、甕棺からの出土事例を重視すれば、単体もしくは器物からはずされて副葬されたとも考えられる。スイジガイにその起源を求め、鉤形が持つ呪力が重視されたのではという考えが有力視されている。なお、韓国の大成洞古墳群で3古墳9点の小型品と大型品が出土している。13号墳では、盾に装着されていたと考えられる。

(田中晋作)

以上、転載

 

 

*辞典解説文より漢字ピックアップ


セツ、き(る)、た(つ)

土器

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