茂山虎谷遺跡 もざんとらのたにいせき
茂山虎谷遺跡
もざんとらのたにいせき
Musan Hogok-yujeok
北朝鮮・咸鏡北道茂山郡茂山邑にあって、豆満江上流域の河岸に立地する。朝鮮半島北東部を代表する先史時代遺跡。1959〜61年に当時の科学院考古学及民俗学研究所によって発掘調査され、1380㎡の範囲内に櫛目文土器(新石器)時代から原三国(古朝鮮)時代にわたる竪穴住居跡51軒と、無文土器(青銅器)時代の箱式石棺墓2基が検出された。住居跡はその構造と遺物から見て、およそ6基に分けられる。第Ⅰ期は、櫛目文土器時代末期に属し、検出された10軒の住居跡はいずれも方形もしくは長方形の小型であり、櫛目文土器や石器・骨器を出土した。第Ⅱ期から第Ⅳ期は、無文土器時代に当たり、全部で20軒検出された住居跡は、いずれも長方形であって、無文土器や磨製石器・骨器などを出土した。第Ⅳ期では、卜骨が見られる。第Ⅴ期と第Ⅵ期は、原三国時代に相当し、全部で21軒の住居跡が検出されたが、いずれも長方形で、黒色磨研土器や鋳造鉄器などが出土した。ここで出土した動物遺体の分析によると、櫛目文土器時代には、イノシシ・シカなどの狩猟活動とともに、ブタや犬を飼育している。無文土器時代になると、ここでは他の地域に比べて、ブタや犬の飼育は大きく進み、牛のような使役動物も加わり、過半を占める狩猟の獲物に迫っている。植物遺体は、第Ⅱ期以降の住居跡からキビ・モロコシなどが検出されている。
(西谷正)
以上、転載
