潘南古墳群 ばんなんこふんぐん

潘南古墳群
ばんなんこふんぐん
Bannam-gobungun

韓国・全羅南道羅州市潘南面の紫微山一帯に分布する馬韓残存勢力の古墳群。霊岩郡に発し栄山江に合流する三浦江の南岸、潘南面の中央に標高50〜100mほどの南北に延びる低丘陵が位置し、その南端を主峰紫微山(標高98.3m)が占める。古墳群は紫微山を中心に西側の大安里と、東側の新村里・徳山里に30余基が分布するが、いくつかの支群に分けられる。大安里一帯は12基からなり1〜3号墳、4〜9号墳、10・11号墳で3群をなし、12号墳が単独に分布する。新村里・徳山里一帯には、新村里4〜6号墳の一群と、新村里2・3号墳の一群、新村里1号墳・徳山里1〜6号墳の一群、そして新村里8・9号墳・徳山里7〜9・11〜14号墳の一群が散在しており、徳山里10号墳と新村里7号墳は、独立丘陵の中央部に単独に分布する。また、紫微山南側には興徳里石室墳が位置する。1917年に最初に調査が始められ、徳山里1・4号墳、新村里5・9号墳、大安里8・9号墳が調査された。また1939年には5基の甕棺(新村里6・7号、徳山里2・3・5号)の発掘調査と、興徳里石室墳の石室の実測調査が実施され、潘南面に大型甕棺古墳が30余基分布することが知られるようになった。

近年、史跡整備に伴う確認調査が実施され、新村里9号墳で円筒形土器の配列が確認されたほか、どの古墳にも墳丘周囲に周溝を備えることが明らかとなり、墳丘の失われた古墳痕跡も新たに検出された。現在、新村里で9基、徳山里で14基、大安里で12基が確認されている。一部に時期の下る石室墳もあるが、大部分は大型の専用甕棺を用いた5〜6世紀前葉の墳丘墓である。栄山江流域の甕棺古墳のうちでも最盛期の古墳群として、墳形も円形と方形に定型化しており、墳丘規模も最大級に属する。大安里9号墳は44.3×34.9mを測る最大の長方形墳である。これらの出土遺物も、他地域と比べて多様かつ豊富である。このような点から栄山江流域の政治体を究明する上できわめて重要であると考えられる。なお紫微山山頂にはこの古墳群と関連すると推定される山城がある。

(大竹弘之)

以上、転載