同型鏡 どうけいきょう
同型鏡
どうけいきょう
同型鏡とは、1面の鏡原形をもとに複数の土製鋳型をつくり、その一つ一つの鋳型からそれぞれ1面の鏡を鋳造して得られた複数の同形・同文の鏡である。土製鋳型が複数の鏡の鋳造には耐え得ないという前提に立っている。これに対して、土製鋳型でも複数の鏡の鋳造に耐え得るという同笵鏡の考え方もある。弥生時代の小型仿製鏡のように、鋳型が石製であれば同笵鏡しかあり得ないが、鋳型が土製で、しかも出土していないとなると、製品の鏡から同型か同笵かを判定するしかなく、その作業は単純ではない。鋳型が土製と考えられる同形・同文の鏡は、すでに中国の戦国時代にあり、魏晋六朝時代の神獣鏡などにも見られるが、とりわけ古墳時代前期の三角縁神獣鏡では、同形・同文の鏡が種類・数量ともに傑出している。しかし、鋳型が出土していないために、同型と同笵の両論がある。他方、古墳時代中〜後期の画文帯同向式神獣鏡には、同形・同文の鏡が20数面もあり、これらは同型鏡でほぼ落ち着いている。
(藤丸詔八郎)
以上、転載
