竹原古墳 たけはらこふん

竹原古墳
たけはらこふん

福岡県宮若市（旧鞍手郡若宮町）竹原の諏訪神社境内に所在する装飾古墳。犬鳴川支流の黒丸川と山口川にはさまれた南東に延びる低丘陵上に位置する。墳丘は削平されているが、もとは直径17〜18m、高さ約5mの円墳であったと推定される。埋葬主体は南西方向に開口する全長約6.7mの複室の横穴式石室で、後室奥壁には石棚を設ける。1956年（昭和31）偶然に壁画（装飾）が発見された。壁画は全体的に赤と黒の顔料を用いて描かれている。前室の左右両袖石の奥に向かって左側に玄武を、右側に朱雀を描く。後室奥壁には2本の翳を対照的に配置し、下端に波形文を描いた上に船を浮かべ、さらに龍・馬・人物・小舟・旗差物状の連続三角文を描く。人物には冠帽・美豆良・靴が表現される。これらのモチーフには、四神思想や龍媒伝説など、中国や高句麗壁画古墳の思想的な影響がうかがえる。現存する遺物には、金環・銀環・玉類・圭頭大刀・馬具類・鉄刀子・鉄鏃・須恵器がある。6世紀後半の築造と考えられる。

（岡田裕之）

以上、転載