原城跡 はらじょうあと
原城跡
はらじょうあと
長崎県南島原市(旧南高来郡)南有馬町に所在する城跡。島原の乱(1637〜38年〔寛永14〜15〕)で天草四郎ら一揆軍が籠城したことで著名である。戦国期のキリシタン大名有馬氏の重要拠点として成立し(創築時期不詳)、16世紀後葉から17世紀初頭にかけて整備・拡充が行われた。有明海に臨む海岸段丘上に立地し、南北1200m×東西500mもの広大な空間を占める群郭型中世城郭であるが、本丸のみが近世初頭の築城技術を駆使した総石垣造りとなっている。1992年(平成4)から発掘調査が継続して行われており、城の内部構造とともに島原の乱の実像が明確になりつつある。有馬氏時代のアジア交易の興隆を物語る大量の貿易陶磁器類のほかに、十字架・メダイ・ロザリオなどのキリシタン 関係遺物や人骨・弾丸などの籠城戦にかかわる資料が出土している。また、乱後の破城の痕跡も検出されている。
(宮武正登)
以上、転載
