博多遺跡群 はかたいせきぐん

博多遺跡群
はかたいせきぐん

福岡市博多区に所在し、博多湾へと北流する那珂川と御笠川の下流域の、両川間の砂丘に立地する都市遺跡群。
(中略)

特に11世紀後半から13世紀前半にかけて宗商人が居留し、日宋貿易の拠点として繁栄していたことは文献史料から広く知られていたが、発掘調査で出土した国内の他の地域を圧する膨大な量の中国輸入陶磁器はその物証となる。そのほとんどは華南産で、その中には外底部に墨書を記したものも多く見られ、「王」「陳」「張」「周」「李」「丁」といった中国人の姓、それに組織名の「綱」を加えるもの、数量を記したものが大半で、出荷の際に記されたものと見られる。また国内にはあまり流通しなかった希少な奢侈品のほか、12世紀前半以降には黒釉陶器(天目)碗が高い頻度で見られる。居留宋人の喫茶の風習に起因するものであろう。
(中略)

13世紀後半以降、活発であった宋商の動きも沈静化し、聖福寺・承天寺などの大規模禅宗寺院や、蒙古襲来後に設置された鎮西探題を中心に、大宰府に代わる九州の中核都市として発展していく。
(後略)

 

(佐藤一郎)

以上、抜粋転載

 

海を越えて大陸と行き来したDNAが、博多の地には通奏低音のように流れていると感じます。新し物好きなところもそう。

JR博多駅から博多湾に向かってまっすぐ延びる大通りには、日宋貿易を担いここで暮らした商人たちを説明する解説板が、点々と繋がって楽しい。

歩きながら一つずつ眺めていると、中世の国際都市の活気に包まれる気分です