安陽小屯遺跡 あんようしょうとんいせき
安陽小屯遺跡
あんようしょうとんいせき
Anyang-xiaotun-yizhi
中国・河南省安陽市北西西洹河南岸の小屯村にある殷代後期の遺跡。20世紀の初頭、王国維により小屯村で出土した甲骨文字の解読を契機に殷墟の所在が確かめられた。小屯周辺は、かつて殷代後期の都殷墟の中心地であり、宮殿・宗廟建築や甲骨文字の出土が注目される。1928〜37年、中央研究院歴史語言研究所は、小屯村の北・東北部を中心に調査を行った。小屯村東北では34ヵ所の大規模な宮殿・宗廟建築基壇が発見されたほか、27号坑からは17000点の文字が刻まれた甲骨が出土した。1975〜85年、中国社会科学院考古研究所が小屯の西北部を中心に調査を行い、その発掘成果は『安陽小屯』にまとめられている。1976年春に発見された武丁の王后とされる婦好墓は、被葬者と生存時期が特定できる唯一の大型墓として、出土した多数の青銅器・玉石器が殷王墓編年の基準となる。また、婦好墓の東にある17・18号墓は、出土した青銅器の銘文から、被葬者はいずれも殷王室の関係者である可能性が大きいとされる。
小屯の西北ではさらに住居跡49基、貯蔵穴・灰坑165基、竪穴式墓26基、祭祀坑17基、石の路面などが発掘された。小屯の東北部の宮殿・宗廟建築遺構群には合わせて53基の版築建築基壇があり、それらは空間配置から甲・乙・丙と3組に分けられ、15の基壇を持つ甲組の時期が古く、その次は21の基壇を含む乙組であり、17の基壇を持つ丙組の時期がもっとも新しい。なお、乙・丙組の周辺では祭祀関係の遺構が見られる。
(陳洪)
以上、転載
