バンチェン文化 ばんちぇんぶんか

バンチェン文化
ばんちぇんぶんか
Ban Chiang culture

タイ・サコンナコン流域を中心に分布する、東北タイ北部の初期金属器文化。バンチェン遺跡を標準遺跡とする。BC1000~BC1世紀頃に当たる。代表的な遺跡にバンチェン、バンナデイ、ノンノクタなどがある。バンチェン遺跡の居住はBC2100年頃から紀元後まで連続するが、BC1000年頃までは後期新石器時代で、その後、青銅器時代、BC500年ころ鉄器時代となる。通例、居住域と墓域からなるマウンドが遺跡である。マウンド周囲の低地を農地とした。居住域の発掘例はほとんどない。発掘されたのは多くが墓地である。成人は伸展葬土壙墓で、青銅器時代にはスリップがけし、一部に赤い彩色のある刻文土器や銅斧・銅槍先などを副葬する。鉄器時代にはスリップがけの上に赤色顔料で渦巻文を描いた、いわゆるバンチェン彩文土器と、銅腕輪や銅斧、バイメタルの鉄刃青銅槍先や鉄条付加青銅腕輪などを副葬する。幼児は土器棺を用いる。墓地は集合墓で構造上の差はないが、副葬品に階層差が生じている。

(新田栄治)

以上、転載