八仙洞遺跡 はっせんどういせき

八仙洞遺跡
はっせんどういせき
Baxindong-yizhi

台湾・台東県長浜郷に所在する旧石器時代の遺跡。標高20~100mの範囲にある10余の海食洞窟から構成される。1968年、台湾大学の宋文薫によって乾元・海雷・永安・潮音などの四つの洞窟が発掘調査され、内部の詳細が次第に解明されてきた。遺跡の包含層は、概して上層が新石器時代の赤色土器を主とし、下層から土器を伴わない旧石器時代の遺物が発見された。下層に対して「長浜文化」と命名し、台湾において最初の旧石器時代研究の根幹となった。八仙洞遺跡の中でも、特に潮音洞窟から出土したものが最も多く、旧石器時代の遺物は打製の技法を中心に、チョッパー、チョッピング・トゥール、スクレイパーなどが多い。また磨製骨器の尖頭器・両端尖頭器・ドリル・針なども発見されている。C14の年代測定結果は主にBC3000年前後を示しているが、BC13000年より古い可能性もあると指摘されている。

従来、同遺跡を旧石器時代の住居と見なしているが、新石器時代に魚介類を捕るための臨時キャンプという意見も提起されている。ただ、多角的に検討しても旧石器時代に属すという可能性が非常に高いと思われる。近年その南、約50㎞に立地する小馬遺跡から、旧石器時代の遺物が出土した。石刃技法などの要素は八仙洞遺跡には見られないが、これらを互いに補完することにより、台湾旧石器時代の文化様相を示すことができる。八仙洞遺跡は、台湾において最初に発見された旧石器時代の遺跡であり、台湾考古学研究史にとっても、重要な意味を持つものであることは疑いない。

(陳有貝)

以上、転載