渤海 ぼっかい

渤海
ぼっかい
Bohai  Balhae

698年から926年まで、朝鮮半島の北部から中国大陸東北地方南東部、さらにロシアの沿海州の一部にまたがって存続したツングース系民族の古代国家。高句麗滅亡後の698年に、高句麗系の靺鞨人の大祚栄は、高句麗遺民と靺鞨部族を率いて、白頭山(長白山)の北東の地で震国を建てた。その後、713年に唐の渤海郡王に封じられたので、国号を渤海国と称するようになった。当時の根拠地は旧国と呼ばれ、吉林省の敦化市に残る敖東城跡がその遺跡とされる。渤海の文化は、高句麗のそれを継承したものであるが、政治制度は唐にならったもので、あたかも唐制の規模を小さくした感がある。地方制度として、5京・15府・62州が設置され、その下に州県が置かれた。そのうち5京は、領土の重要地区の中心地に設置されたもので、初期の国都であった中京顕徳府(吉林省和龍市、西古城跡)をはじめ、その後に国都となった上京龍泉府(吉林省寧安市、東京城)、東京龍原府(吉林省琿春市、八連城跡)の3京のほか、西京鴨緑府(吉林省集安市)と南京南海府(北朝鮮・咸鏡南道新昌郡、青海土城)がある。特に国都となった3京の遺跡には、唐の長安城を模倣した城郭都市遺跡が見られ、その内外に宮殿・官衙・寺院・古墳などの遺跡群が残り、また各種豊富な遺物を出土する。渤海と日本との間には、しばしば外交関係が見られた。

(西谷正)

以上、転載

 

 

*辞典解説文から漢字ピックアップ

敖東城
ごうとうじょう

青海土城
せいかいどじょう