鳳渓里遺跡 ほうけいりいせき

鳳渓里遺跡
ほうけいりいせき
Bonggye-ri-yujeok

(1)

韓国・慶尚南道陜川郡鳳山面鳳渓里に所在する櫛目文土器(新石器)時代の集落遺跡。洛東江支流の黄江の中流域に形成された砂丘の沖積台地に位置し、陜川ダムの建設によって水没した。1987・88年にかけ東亜大学校博物館によって発掘調査された。遺構としては住居跡13軒と野外炉跡などが検出された。住居跡は円形竪穴住居跡で、住居跡中央あるいは壁面に炉跡がある。炉跡付近に貯蔵穴があるものもあり、9号住居跡の貯蔵穴からはドングリとクルミが出土した。出土遺物には土器・石器などがある。土器は櫛目文土器時代の後期に当たる退化沈線文系の斜格子文と刺突文系の列点文を持つものが多く、また器形は海岸地方とは異なって、口縁が外反してS字状を呈するものが多い。石器には鋤・打製石斧・砥石・磨石などがあり、紡錘車・魚網錘などの土製品も出土した。9号住居跡からC14年代が得られ4060±150BPとされている。

(崔鐘赫)

(2)

韓国・慶尚南道泗川市昆明面鳳渓里46-6番地一帯に所在する。2000年に国道拡張工事に伴い、慶南考古学研究所が発掘調査した。その結果、丘陵の稜線上と斜面から150余基の三国時代加耶の住居跡と、無文土器(青銅器)時代の粘土帯土器を焼成した土器窯跡、高麗・李朝(朝鮮)時代の墳墓が確認された。三国時代の住居跡は平面が円形・楕円形・隅丸方形など多様な形態を呈しており、主に単独で築造されたものよりも重複するものが多い。規模は3〜15㎡とさまざまで、壁体を立てるための壁溝施設が大部分の住居跡から確認されている。炉跡は壁と一定の間隔を置くものと、接して設置されたものとがあり、後者がより多く認められる。窯跡は三国時代のものと類似しているが、酸化焔焼成の無文土器が出土し、全長23m、幅2.5m、高さ1.5mと大型である。壁体断面の調査で、5回以上の焼成が行われたことが明らかとなった。鳳渓里遺跡は、約150基の住居跡が密集する加耶の大規模集落であることが明らかとなり、今後、加耶の生活相を復元する上で重要な資料になるものと期待される。

朴廣春)

以上、転載