府院洞遺跡 ふいんどういせき

府院洞遺跡
ふいんどういせき
Buwon-dong-yujeok

韓国・慶尚南道金海市の市街地西側に所在する原三国(弁韓)〜三国時代の集落遺跡。1980年に東亜大学校博物館によって発掘調査が行われた。調査区は中央の南山の西側斜面にA地区、東側斜面にB・C地区が位置する。A地区では緩やかな斜面に貝層が形成されており、上部からⅠ〜Ⅴ層に分けられる。Ⅳ層から石棺墓1基、Ⅴ層から住居跡3軒が、貝塚外から無文土器(青銅器)時代の土壙墓と石棺墓各1基が検出された。B地区でも斜面に貝塚が形成されており、上部からⅠ〜Ⅴ層に分けられるが、上部のⅠ〜Ⅲ層は大きく撹乱を受けていた。C地区では住居跡3軒と溝状遺構が検出され、2号住居跡には竃が設置されていた。出土土器は灰青色土器と赤褐色土器があり、さらに硬質と軟質に分けられる。器種では壺・甕・鉢・器台・坏・高坏・蓋・異形土器などがあり、土製品として紡錘車・魚網錘・馬形土製品・勾玉などがある。赤褐色軟質土器の中には、日本列島の土師器および土師器系土器と推定されるものが少数含まれている。また石器・石製品として、砥石・滑石製円板・管玉・琥珀切小玉などが、鉄器として鏃・刀子・釣針・錘などが、骨角器として鹿角刀子柄・鏃・針・卜骨などがある。そのほかに炭化米・小麦・アワなどの穀物類と鉄滓が出土している。

(高久健二)

以上、転載

 

 

*mapは金海市府院洞