天馬塚 てんまづか
天馬塚
てんまづか
Cheonma-chong
韓国・慶州市皇南洞に所在する三国時代新羅の古墳。皇南洞155号墳に当たる。1973年、慶州総合開発計画の味鄒王陵地区浄化事業一環として、当時の文化財管理局(金正基団長)などにより、皇南大塚(98号墳)発掘の予備調査として発掘された。積石木槨墓である。地表面から墳頂部まで12.7m、東西墳丘底径60m、南北径51.5mを測る。木槨は東西6.6m、南北4.2mで、高さは約2.1mに復元される。木棺と副葬品収蔵櫃からなる。木棺は東西2.15m、南北1.8mに復元され、その周囲に幅50㎝、高さ約40㎝の石壇がめぐらされる。収蔵櫃は木棺に直交して配置される。東西76㎝、高さ38㎝、厚さ約8㎝である。石壇は竪穴式石槨の影響と推定されている。建築・土木学的見地からの発掘手法も導入され、積石木槨墓の築造行程、木棺・木槨の構造、埋葬過程などが復元された。木槨が地上面に設置され、地下式より新しいことが確認された。
副葬品は封土内(鉄矛・有刺利器・馬具など)、木槨上部(土器類・耳飾・ガラス玉など)、木槨周囲の石壇上面(冠帽・銙帯・腰佩・玉・鉄鋌・方柱形鉄棒・三累環頭大刀など)、木棺内(金製冠・耳飾・銙帯一式・金銅鳳凰文環頭大刀など)、副葬品収蔵櫃上面(金製鳥翼形冠飾・金製蝶形冠飾・金銅冠帽)、収蔵櫃内(白樺樹皮製天馬図障泥・金銅装鞍・鐙・杏葉・雲珠などの馬具、金属器・漆器・土器・ガラス器・白樺樹皮彩画板・鉄製武器・金銅装甲冑・卵殻など)で、総計11526個体の遺物が出土している。冠帽類は木棺内で金冠、棺外の石壇上で金帽(内冠)、収蔵櫃上で金製鳥翼形冠飾が確認され、冠帽の着装のあり方や出土状況から、諸儀礼を復元しうる基礎資料が得られた。古墳の年代は5世紀末から6世紀初で、炤知王(479〜499)や智證王(500〜513)の陵に推定する説がある。鞍金具の白樺製の障泥の「天馬図」から、天馬塚と名づけられた。
(東潮)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
銙
カ
佩
ハイ、おびだま、お(びる)、は(く)
