鋳造鉄斧 ちゅうぞうてっぷ

鋳造鉄斧
ちゅうぞうてっぷ

鋳型に銑鉄(鋳鉄)を流し込んで作った斧であり、一般的には袋状斧(銎斧)である。古代中国で、青銅斧の製作技術を受けて生産が始まり、戦国時代前期には確実に出現し、同後期に質・量的な生産の安定化を迎えた。前漢武帝の鉄官設置以降、中国各地で生産され、三国時代以降は徐々に鍛造品に代替されることとなった。鋳造鉄器は鉄が高炭素であるために、高度な脱炭処理が必要とされ、鋳造鉄斧もすでに戦国時代から脱炭して使用された。戦国時代末期の燕国から技術を受容した朝鮮半島でも、鋳造鉄斧の生産が開始され、原三国(三韓)・三国時代を通じて各地で生産されていた。ただし、その主体は中国で钁(かく)と呼ばれる横断面梯形を呈する土掘り具の刃先であり、厳密にいうと斧ではない。日本では弥生時代開始期にすでに鋳造鉄斧が舶載されているが、中国遼寧地方〜朝鮮半島西北部産が圧倒的に多く、古墳時代を迎える頃から朝鮮半島産(钁)が増加するようになった。

(村上恭通)

以上、転載

 

*辞典解説文より漢字ピックアップ


キョウ