徳川人 とくせんじん

徳川人
とくせんじん
Deokcheon-in

北朝鮮・平安南道徳川郡勝利山に所在する石灰岩の洞窟遺跡で1973年に発見された化石人類。この洞窟内の堆積層は六つに分けられており、化石人骨出土層の状況ははっきりしないが、上下の二つに分かれているらしく、徳川人は下層から出土した歯牙で、洞窟ハイエナの下顎骨とともに出土している。歯牙の人類学的鑑定により、旧人段階のものとされている。徳川人の歯牙は2個で、下顎骨右側第1大臼歯(M1)と上顎骨左側第2大臼歯(M2)で、摩耗程度が相巽するものの同一個体であると鑑定された。歯牙出土地点から1.5m離れて出土した肩甲骨も「徳川人」と呼ばれる。動物化石の構成と人骨から力浦人よりも遅い時期の旧人で、いまから10万年余り前の中部更新世末〜上部更新世初期のものと考えられている。

(中山清隆)

以上、転載