動物形土製品 どうぶつがたどせいひん

動物形土製品
どうぶつがたどせいひん

「動物土偶」などと呼ばれていたが、江坂輝彌の提起によって動物形土製品と呼ばれるようになった。イノシシ・クマ・サル・ムササビ・カメ・鳥など動物のほかに、ゲンゴロウ・ミズスマシ・カマキリ・セミなど昆虫を模したものもある。もっとも多く作られているのはイノシシである。これらは縄文時代後期から晩期の遺跡で発見される。北は北海道渡島半島の尻岸内町日ノ浜貝塚出土のものから、南は奈良県橿原遺跡のものまで、その分布範囲は広い。西日本では岡山県笠岡市黒土遺跡出土のムササビの一例が知られるのみで、動物形土製品の出土例は多くなく、東北・関東地方に集中している。用途は現在のところ不明である。これらの土製品は丁寧に作られたものがあり、子供の玩具とは考えがたい。動物を表現したものに土器の把手にヘビなどの一部を模したものがある。

(中村修身)

以上、転載

 

 

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