オランダ陶器 おらんだとうき

オランダ陶器
おらんだとうき

17・18世紀、日欧貿易の担い手であったオランダ連合東インド会社(V.O.C)によって日本に招来されたヨーロッパ陶器の総称。ルネッサンス以降、欧州各地で盛んに焼かれた青・橙・黄などで彩画したマジョリカ陶器が多く、単色釉、白地青彩の陶器などもある。産地はオランダに限らず、ヨーロッパ各地にわたる可能性がある。特徴的な器種に口縁部と底部を絞る寸胴のアルバレルロ形壺があり、幾何学文を描いた徳川秀忠墓出土品、蔓草文と2色塗り分けの縦の葉を描いた大阪城跡出土品が著名であるが、欧州に縦向きの葉の類品はなく、注文品の可能性もある。将軍墓・大名屋敷・城郭や、海外貿易を許された「五か所問屋仲間」のあった都市の町屋(商家)、出島オランダ商館など、海外品の流通ルートに沿った遺跡から出土し、17世紀前半〜18世紀初頭に廃棄されている。鎖国期の日本とヨーロッパの交流・交易を物語る資料として重要である。

(松本啓子)

以上、転載