崖墓 がいぼ

崖墓
がいぼ

岩山の中腹に洞穴を掘り、その奥に墓を設ける横穴墓。中国では、主に漢代諸侯王墓の墓葬形式の一つとして採用された大規模なものと、四川省を中心とした中国西南地方に流行する後漢時代以降の小規模なものに大別する。前者は崖洞墓とも呼ばれ、河北省満城の中山王陵、山東省九龍山の魯国王陵、江蘇省徐州の楚王陵(北洞山・獅子山漢墓)、河南永城の梁王陵などを代表とする。また、広東省南越王墓は丘陵の山頂から墓壙を掘る竪穴式であるが、自然の岩山の利用、横穴式の石室の構築という点で崖墓と共通する。後者は1ヵ所に数十基がまとまって分布し、同時期の塼室墓と基本的に同じ副葬品を持つ。墓室の構造から単室・前後室と多室に分けられ、一般的に規模は大きくない。成都天迴山を例にすると、1号墓は単室で奥行が約3mであるのに対して、3号墓は墓道が10.8m残存し、多くの墓室を有し前・後室の総長は19.05mになる。

(後藤雅彦)

以上、転載