画象鏡 がぞうきょう
画象鏡
がぞうきょう
内区主文の画題や浮彫り表現が後漢時代に盛行した画象石の図文に似ているためこの名称がある。主文には東王父・西王母などの神仙・龍虎・車馬・歌舞・また故事に登場する呉王・伍子胥などがあり、構成する文様の種類によって神人歌舞鏡・神人龍虎鏡・神人車馬鏡などと呼ばれている。縁には平縁と三角縁があり、外区文様には流雲文・唐草文・画象文・複波鋸歯文・獣文などがある。縁の形態と外区文様には相関があり、平縁には流雲文・画象文が多く、三角縁には複波鋸歯文・獣文が多い。前者は方格規矩鏡などに近い要素であり、また後者は三角縁神獣鏡などに近い要素である。主文によく登場する東王父が後漢中期以降に現れること、また1936年ごろ、浙江省紹興から後漢末から三国時代呉の年号鏡とともに多数の画象鏡が出土したことから、後漢末から三国時代に盛行したと推定された。華南地方の出土例が多いが、朝鮮半島の楽浪郡からも出土し、わが国でも5〜6世紀の古墳から出土している。古墳出土の神人車馬鏡と神人歌舞鏡には同型鏡が見られ、中国南朝との交渉でもたらされたと推定されている。
(藤丸詔八郎)
以上、転載
