グリフィン ぐりふぃん
グリフィン
ぐりふぃん
griffin
ライオンと鷲を合体させた空想獣の英語名。ギリシア神話に登場するグリュプスに由来するが、学術文献ではそれ以前のメソポタミアや、東地中海の古代文明に見られる同種の空想獣もグリフィンと呼ばれる。頭が鷲の鷲グリフィンと、ライオンの獅子グリフィンに分けることがある。古代ギリシアには、鷲グリフィンのみが1対で守護獣、あるいは単独で神の乗り物として現れるが、アケメネス朝ペルシアには両種が見られ、役割は守護獣か英雄=王の狩りの対象である。ペルシアのグリフィンの特徴は、頭にヤギのような後方に曲がった角を生やしていることである。ギリシアとペルシアの両種とも、スキタイ文化の時代(BC7〜4世紀)にユーラシア草原に伝わり、遊牧民の造形のモチーフとしては、鹿と並んで最も愛好された。中国では漢代に登場した天禄・辟邪、南朝の石麒麟は、有角・有翼の獅子という点でペルシアの獅子グリフィンに近い。日本の古墳時代の獅噛文の獅子もその流れであろう。
(林俊雄)
以上、転載
