郭支貝塚 かくしかいづか

郭支貝塚
かくしかいづか
Gwakji-paechong

韓国・済州道北済州郡涯月里郭支里に位置する、原三国(耽羅)時代を中心とする貝塚。1979・84・92年に、済州大学校博物館が発掘調査した。住居跡などの遺構は検出されなかったが、土器を大量に包含する文化層や貝層が認められた。文化層・貝層は、最下位の第4層から最上位の表土層である第1層まで4層に分けられる。土器は、最下層における外反口縁の無文土器のほか、叩き目文の残る灰陶質(瓦質)土器や、最上層では波状文のある統一新羅時代の新羅土器まで出土した。土器以外では、各種の動物骨や貝殻・骨角器・鉄刀子・石斧・磨石・石錘・土紡錘車などが見られた。そのうち、原三国時代の土器は、赤褐色無文の深鉢形(郭支里Ⅰ式)が主体を占め、ついで灰青色の灰陶質土器が伴うもの(同Ⅱ式)が現れる。郭支里Ⅰ式の無文土器には、全羅南道の郡谷里遺跡出土の土器が共伴することから、両地域間の交流がうかがわれる。郭支里Ⅰ・Ⅱ式は、文献史料に見える耽羅の前・後期にそれぞれ比定されている。

(西谷正)

以上、転載

 

*mapは涯月里郭支里