剝片尖頭器 はくへんせんとうき
剝片尖頭器
はくへんせんとうき
先端が尖る剝片、もしくは石刃の打面側の両側辺に腹面側から抉るような調整加工を施し、柄状の基部を作り出した尖頭石器。基部以外の加工部位は先端の両側辺や片側の一部、片側側辺のすべてにわたるものなど多様であるが、尖った先端部を意識して作り出している。主に九州を中心としてナイフ形石器文化の後半に出現する石器である。九州地方では100ヵ所以上の出土例がある。朝鮮半島では江原道の長興里遺跡を最北として、垂楊介遺跡・龍湖洞遺跡・チングヌル遺跡・竹山遺跡・月坪遺跡・古礼里遺跡など中・南部の遺跡で出土例が増加しており、現在8ヵ所で出土が知られている。韓国では、基部を持つことから「有茎尖頭器」と称されている。よって、この中には九州地方でいう片側辺のすべてを加工した「中原型ナイフ形石器」も含まれている。垂楊介遺跡の調査で初めて注目され、その地理的分布の情況から、朝鮮半島から九州へ伝えられた石器の一つと考えられている。
(小畑弘己)
以上、転載
