湖南里南京遺跡 こなんりなんきょういせき
湖南里南京遺跡
こなんりなんきょういせき
Honam-ri Namgyeong-yujeok
北朝鮮・ピョンヤン特別市三石区域湖南里南京に位置し、大同江中流域右岸の沖積地に立地する、櫛目文土器(新石器)時代から無文土器(青銅器)時代を経て、原三国(古朝鮮)時代にかけての集落遺跡。社会科学院考古学及民俗学研究所が1980年に発掘調査した。ここではまず、櫛目文土器時代後期の竪穴住居跡が5軒検出された。そのうち第31号住居跡は、規模が特に大きく、また平面隅丸長方形の床が上・下2段になる点が特徴的である。上段の床面は長さ13.5mに幅8.4m、下段は長さ8.4mに幅4.2m、深さは上段が0.2〜0.4m、下段はさらに1.2〜1.4mを測る。住居跡の内部からは、120点余りの土器をはじめとする種々の遺物が出土した。その中には、鞍形磨臼12セットとともに、炭化したアワが出土して、原始農耕の存在を思わせる。そして、この大型住居は単なる居住用ではなく、共同作業場ではないかと推測されている。無文土器時代では、竪穴住居跡が4軒検出された。土器は、大同江流域に特徴的な朝鮮コマ型を主体とする。そのうち第36号住居跡では、床面1㎡の範囲からイネ・アワ・キビ・モロコシ・ダイズなど5種類の栽培植物の遺体が炭化した状態で出土した。イネは、現在のところ朝鮮半島における北限の資料である。最後に、朝鮮コマ型と美松里型の土器が共伴する、原三国時代の住居跡も若干検出された。
(西谷正)
以上、転載
