井戸尻遺跡群 いどじりいせきぐん

井戸尻遺跡群
いどじりいせきぐん

縄文時代中期の遺跡が稠密に分布する八ヶ岳西南麓の代表的な遺跡群。現在の長野県諏訪郡富士見町のJR信濃境駅周辺、ほぼ2㎞四方の中に井戸尻・曽利・藤内・九兵衛

尾根などの著名な遺跡のほか多くの遺跡が集中している。1958年（昭和33）に井戸尻が発掘されて以降、この地域の発掘が断続的に行われた。出土土器に優品が多いばかりでなく、竪穴住居跡の重複関係などから土器群の編年研究が進められ、縄文時代中期の研究を大きく推進した（井戸尻編年）。一方、石器を中心とした生産用具の検討から農耕文化的な様相が注目され（縄文農耕論）、藤森栄一らの著作により世に知られている。さらに近年、井戸尻考古館を中心に土器に表現された様々な文様から当時の精神的側面を読み解く試みもなされ、中国新石器文化との類似点も指摘されている。

（小松隆史）

以上、転載