印文陶 いんもんとう

印文陶
いんもんとう

器表面に幾何学文や渦文などを押圧で施した土器。新石器時代土器の叩き成形の痕跡が、文様に転化したものと推測される。胎質から軟陶と硬陶に分けられる。前者は新石器時代から見られるが、後者はBC2000年頃と考えられる中国・江西省清江築衛城遺跡で発見されている。商時代から春秋戦国時代に盛んに作られ、黄河流域にも分布するが、長江流域以南に多く見られる。日用品であるとともに、呉越地方で発達した土墩墓の副葬品としても用いられた。器形や文様には地域差や時期差があるが、罐や罍・瓿などの貯蔵具形態が多く、文様には雲雷文・方格文・回文・菱形文などがある。印文硬陶を焼成した初期の窯には、湖南省岳陽費家河遺跡の土坑式窯や、江西省清江呉城遺跡や浙江省上虞李家山遺跡の龍窯などがあり、一部では原始瓷器も焼成していた。また自然科学的な分析から両者の胎土が類似することから、原始瓷器の発生には印文硬陶が深く関わっていたと考えられる。

(渡辺芳郎)

以上、転載

 

*辞典解説文から漢字ピックアップ


カン、かま


ライ、さかだる、もたい


フ、ホウ


シ、ジ、いしやき、かめ