遺跡 いせき

遺跡
いせき

過去の人間の活動の結果として残された遺構や遺物が存在した痕跡や空間であり、現在では元来の機能を失い、その性格上不動産的で運搬が困難なものをいう。発掘調査の結果、遺跡は複数の遺構から成り立っている場合が多く、個々の遺構と遺物の検討や、その関連性を通じて遺跡の性格や機能を推定することになる。遺跡はおよそ生産・居住・戦争・宗教、そして埋葬関係遺跡などに分けられるが、たとえば都市の中に墓地が形成されるなど複合される場合も多く、こうした類別が遺跡の機能と必ずしも一致するわけではないことに留意すべきであろう。遺跡は旧石器時代のキャンプサイトから、近・現代の戦争遺跡などに至るすべての時代を包含し、また、その対象もピラミッドや前方後円墳など、地上に営まれた広大な建築物から海底遺跡までさまざまである。考古学をとりまく社会的な状況や調査技術の進展に伴って、遺跡として扱われる対象の範囲も広範なものになりつつある。

(鐘ヶ江賢二)

以上、転載