糸切底 いときりぞこ
糸切底
いときりぞこ
粘土塊から製品や部材を切り離す際の手法の一つ。回転台や轆轤の上で挽上げ成形された器を取り上げる場合に、撚糸などを使うと切り離した面にその痕跡が残る。轆轤の回転力を利用する回転糸切と、轆轤を止めて行う静止糸切がある。回転糸切では同心円状の跡が残り、静止糸切では弧線の集合した痕跡がつく。切り離しはわずかな回転力でできるが、轆轤を止めた状態でも糸を器に回して切ると、痕跡は同心円状に見えるので、製作者の糸の当て方によっては回転・静止の判別がし難い場合も生じる。轆轤を右回転(順回り)で成形品を切り離した痕は右糸切(本糸切・順糸切)と呼ばれ、日本で多いのに対し、左回転で切り離すのは左糸切(逆系切・唐物糸切)と呼ばれ、中国やヨーロッパで多い。瓦や陶棺の製作にも糸切り使用例がある。また切り離し後に削りや器面調整を行うと糸切痕は不明となる。
(山本信夫)
以上、転載
