ジャコ貝製貝斧 じゃこがいせいかいふ
ジャコ貝製貝斧
じゃこがいせいかいふ
ジャコガイ類は、二枚貝の中でももっとも巨大に発達した貝殻を有する種類であるが、オセアニアを中心とするサンゴ礁地域では、シャコガイの貝殻を材料とした貝斧が製作されている。南西諸島の先島諸島は、シャコガイ製貝斧の分布地域における北限に当たる。この貝斧は、全面または局部が磨かれて製作されており、貝殻の利用部分から、①蝶番部分、②放射肋部分、③腹縁部分に分類することができる。先島諸島の考古学編年における無土器新石器時代(弥生〜平安時代並行)からグスク時代(鎌倉〜室町時代並行)に至るまで、継続して製作・使用が認められる。先島諸島における製作技術は各時代を通じて一貫しており、蝶番部分を利用した貝斧が主体を占める。フィリピン諸島の出土資料と共通した特徴が認められる。宮古島の長間底遺跡・浦底遺跡(城辺町)、石垣島の名蔵貝塚群(石垣市)などから多数出土している。
(高梨修)
以上、転載
