竹内里遺跡 ちくないりいせき

竹内里遺跡
ちくないりいせき
Juknae-ri-yujeok

韓国・全羅南道順天市黄田面竹内里26-2番地に所在する。遺跡は、蟾津江の支流である黄田川の中流域の盆地上の地域に当たり、黄田川と鳳城川が合流する山裾の丘陵端の平坦地に位置している。順天〜求礼間の道路工事の事前調査により、無文土器(青銅器)時代と三国時代の遺跡として認識されていたが、旧石器時代の文化層の存在が明らかになり、1996・97年にかけて朝鮮大学校博物館によって調査された。

調査の結果、地層は5mの厚さで9枚に分離される。そのうち、第2層が三国時代と無文土器時代の遺構が形成された層で、その中に旧石器時代第4文化層が入り、第4層の上部と下部にそれぞれ旧石器時代第3文化層と第2文化層、そして第6層下部に旧石器時代第1文化層が存在する。第1文化層からは569点の石器が出土し、大型の剥片で製作されたハンドアックス・クリーバー・大型削器・尖頭器・多面体石器・ノッチ・鋸歯縁石器・ドリルなどがある。石材には石英脈岩のほか凝灰岩が使用されている。大型剥片と石核の接合例など7点の接合資料がある。第2文化層からは削器・ノッチ・多面体石器など340点の石器が出土した。第3文化層は95点の石器が出土し、94点が石英脈岩である。石器にはノッチ・礫器などがある。第4文化層はこれら下部の文化層の石器群と異なり、新たに流紋岩が石器素材として多用されている。3126点の石器が出土したが、うち2259点(72%)が流紋岩製石器である。石刃および小石刃を利用した背潰し石器・掻器・削器などが特徴的である。このほかノッチ・ピック・鋸歯縁石器・チョッパー・チョッピングツール・ハンマー・台石などが出土している。石核と剥片の接合資料など接合資料が15点ある。

文化層の年代は、地層の地質学的検討と他遺跡との比較から、第1文化層が65000年前以前、第2文化層が6〜3万年前、第3文化層が23000〜20000年前、第4文化層が14000年前とされた。火山灰分析によると第4文化層(明褐色粘土層)下部からATが発見されている。本遺跡は朝鮮半島南部における中期旧石器時代〜後期旧石器時代の多層遺跡であり、しかも豊富な接合資料と石英質石材以外の石器も豊富であり、今後は日本の旧石器文化との比較研究にきわめて重要な標準遺跡となろう。

(小畑弘己)

以上、転載

 

*竹内里遺跡遺物館