貝珠 かいしゅ
貝珠
かいしゅ
二枚貝や巻貝を素材として製作された貝製玉類で、特に正円形に研磨整形された規格性の高い一群を指す。これらを大量に連ねて、装身具として使用するものである。張光直の研究成果をふまえて、木下尚子によりこの呼称が用いられている。二枚貝製貝珠は「貝製平玉」などと称されてきたもので、大陸極東地域、北海道地方・東北地方、朝鮮半島南部、北九州地方・西日本一帯に分布する。タマキガイ科などの貝殻を打割成形後に穿孔、研磨整形して製作される。一方、巻貝製貝珠は「貝玉」「貝小玉」などと称されてきたもので、中九州・南九州地方、琉球弧(南西諸島)、台湾に分布する。両者の分布に重複は認められない。イモガイ類の貝殻螺塔部分を利用して、打割成形後に研磨整形して製作される。二枚貝製・巻貝製貝珠とも、縄文時代後期〜弥生時代を中心に盛行するが、琉球弧では少なくとも7世紀段階までの存続が認められる。
(高梨修)
以上、転載
