回転式離頭銛 かいてんしきりとうもり

回転式離頭銛
かいてんしきりとうもり

刺突具としての銛には、固定銛と離頭銛がある。後者は獲物に突き刺さると索綱が結ばれた銛頭は柄から離れ、獲物の体内で回転しT字形に近くなり抜けにくくなる銛頭で、回転式離頭銛という。構造的には銛頭・中柄・柄とそれらを結ぶ索綱からなる。中柄を差し込む銛基部の構造によって開窩式と閉窩式がある。開窩式は基部側面が溝状にくぼんでおり、索綱を結ぶことによって中柄を差し込む孔を構成する。閉窩式は基部に中柄を差し込む孔があるものをいう。離頭銛は北太平洋寒流域から暖流域にまで分布し、縄文時代早期には北海道・青森県に南下し(一王子型)寒流域のトド・アザラシなどの海獣類を漁獲対象とする。さらに暖流域の仙台湾(南境方)、後期に沼津型、後期末に燕型に発達し、マグロなどを対象とする。西北九州から朝鮮半島南沿岸部には、一王子型に類似した開窩式の西北九州型回転式離頭銛が縄文時代後期に存在する。後世のアイヌに見られる先端に鉄鏃が着装された骨製のキテや、暖流域の鉄製の「つきんぼ」は燕型離頭銛頭の系譜を引いている。

(木村幾多郎)

以上、転載

 

 

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