灰釉 かいゆう
灰釉
かいゆう
灰釉は陶磁器のもっとも基本的な釉薬である。さまざまな植物の灰や石灰を溶媒として加えた釉で、1200°C以上の高火度で溶融する。植物灰の主成分は珪酸と酸化カルシウムで、ほかに酸化アルミニウムや酸化カリウム・酸化ナトリウム・酸化鉄・酸化マグネシウム・酸化マンガン等を副成分とし、植物の種類によって、それぞれ特色のある釉色を示す。珪酸は焼物の成分として最も重要で、珪酸が高熱のもとで塩基としての酸化アルミニウムと化合してガラスが生成され不透水性を持つ。その起源は、高火度で焼く窯で器に自然に降りかかった灰によって胎土の珪酸分が溶けて器表に生じた自然釉で、日本や朝鮮の灰釉陶器をはじめ、各地でこの系統の発展が見られる。新羅焼や日本の須恵器、中世焼締陶などの口縁部や肩部に掛かった釉がそれである。最初の灰釉陶器は中国で原始瓷器あるいは原始青瓷と呼ばれるもので、これは一種の灰釉陶器ともいえる。BC14〜15世紀の商代中期には出現していたとされている。中国における灰釉陶器(原始瓷器)は戦国時代に一旦消滅するが、漢代に復活し、後漢末にはより完成度の高い青磁へと発展する。日本での灰釉陶器の生産は奈良時代、8世紀後半の猿投窯に始まり、わが国唯一の施釉陶器としての中世の瀬戸美濃窯へと継続していく。
(上田秀夫)
以上、転載
*辞典解説文より漢字ピックアップ
瓷
シ、ジ、いしやき、かめ
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