亀 かめ


かめ

カメ類(海亀・陸亀・スッポン)は、実物が遺跡から食料残滓や亀卜資料として出土する一方、しばしば絵画・造形の対象とされた。特に東アジアでは、カメの象徴性は、宗教の分野において重要ないちを占めている。水や海の信仰と関わることが多い。カメを墓に納めたり、甲羅に刻みを入れたり、カメ形・スッポン形の玉器を作ることは中国の新石器時代に始まり、商・周時代には亀卜を行うことが活発化した。カメを青銅器や陶器に表現することも増加していく。戦国・秦・漢時代以後には、カメが蓬莱山や仙人を甲羅にのせるという思想が広まり、カメ形の墓誌、カメが石碑を支える亀趺、亀鈕の印章も出現した。また四神の一つである玄武は、カメとヘビが合体したものである。日本列島では、弥生時代の銅鐸にカメを表現するようになったが、奈良県明日香村の亀形石をはじめとして、飛鳥・奈良時代にカメの造形・図像表現が著しく盛んとなった。隋・唐時代には、新羅の武烈王陵(661年没)の亀趺をはじめとして、東アジアに広くカメの信仰が広まっている。

宇野隆夫)

以上、転載

 

 

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