上淀廃寺跡 かみよどはいじあと

上淀廃寺跡
かみよどはいじあと

鳥取県米子市(旧西伯郡)淀江町福岡字桜田ほかに所在する寺院跡。淀江平野東側の丘陵裾に位置する。1991年(平成3)より淀江町教委が発掘調査を行っており、法隆寺金堂壁画と並ぶ国内最古級の仏教壁画の出土や、金堂の東側に南北に3塔を配する特異な伽藍配置などが注目される。紀年銘瓦などの遺物から7世紀後葉に建立され、11世紀前葉に焼失したものと考えられる。寺域は東西約2町、南北約1町と推定され、ほぼ中央に中心伽藍が位置する。3塔のうち、北塔も心礎は設置されるが、基壇を築いた痕跡がない。基壇は瓦積みの周囲に石列を設置する二重基壇で、創建軒丸瓦は「上淀廃寺式」と呼ばれる単弁十二弁蓮華文である。壁画・壁体片のほか、

瓦類(鴟尾)・塑像片・土器類・鉄釘などが出土し、飛鳥時代寺院の堂内荘厳を復元できる数少ない遺跡として注目される。

(岩田文章)

以上、転載