金田城跡 かねだじょうあと

金田城跡
かねだじょうあと

長崎県対馬市(旧下県郡)美津島町大字黒瀬および箕形に所在する古代山城跡。『日本書紀』巻27天智天皇6年(667)11月条に「対馬国の金田城を築く」とある。浅茅湾を眼下に見下ろす黒瀬の城山(標高276.2m)に位置し、城戸と呼ばれる城壁および城門3ヵ所と、それらの城戸を連ねながら城山を囲むようにめぐる石塁が残る。石塁の総延長は約2.8㎞、石塁で囲まれた城内の総面積は約26.4haを測る。考古学的調査は後藤守一が1922年(大正11)に『対馬瞥見録』のなかで、各城戸の写真や略測図さらに門礎石の位置を記録し、発表したことを嚆矢とする。1953年(昭和28)には東亜考古学会が『対馬』を刊行し、後藤の研究成果を裏づけた。本格的な発掘調査は美津島町教委が主体となり1993年(平成5)より始まり、これまでに土塁1ヵ所、門跡2ヵ所、掘立柱建物跡3棟、炉跡2基などを検出している。

(古門雅高)

以上、転載