神原神社古墳 かんばらじんじゃこふん

神原神社古墳
かんばらじんじゃこふん

島根県雲南市（旧大原郡）加茂町神原にある古墳時代前期の方墳。赤川南岸の低丘陵先端に築かれており、出雲地方で最古段階の古墳である。1972年（昭和47）河川改修に伴って発掘調査された。墳丘は29×25mの方墳で、北側を除く3面に周溝がめぐる。内部構造は板石積みの竪穴式石室で、内法は長さ5.8m、幅1m、高さ1.4mである。床面には粘土床に割竹形木棺の痕跡が確認され、さらにその下には粘土床に直交する形で西側に排水溝が設けられている。東側の石室控積みと墓壙壁の間には長方形の土坑があり、その中から朱やベンガラと土師器壺5が出土した。副葬品は石室内から景初3年銘三角縁神獣鏡1面と、多量の鉄製品（素環頭大刀1・大刀1・剣1・槍1・鏃36、鉇・鍬先・鎌・鑿各1、斧・錐・縫針各2など）が出土し、天上石上面からは土師器壺20や特殊円筒土器17などが出土した。鏡は直径23㎝の同向式四神四獣鏡で、銘帯に「景初三年陳是作竟」以下41文字が鋳出されていたことで一躍有名になった。

（足立克己）

以上、転載

 

神話の舞台である斐伊川の支流、赤川に面し、その赤川を挟んだ対岸の丘陵深くには、銅鐸が多数現れたあの加茂岩倉遺跡。神原神社のある雲南市は、出雲市と松江市の南に接し、瀬戸内に抜ける街道筋で宿場町の名残もある。

どう考えても古代から重要な場所だったのだろうと想像できます。破格にすごい出土品も、大いなる物語があるに違いない。

雲南市は『砂の器』（松本清張/著）で一躍有名になった謎深き土地。今も続くハイレベルの食や日本酒にも、深い歴史を感じます。

神原神社古墳は、石室内をこの目で見れること、赤川の土手に立つと昔と変わらぬ立地を感じられることなど、地味な場所ながら現地見学の醍醐味に包まれます。（川幅を広げるため元の場所からは移築されています）

 

＊辞典解説文から漢字ピックアップ

鉇
シ、ほこ

鍬
シュウ、ショウ、くわ、すき

鑿
サク、うが（つ）、のみ

鋳
チュウ、シュ、い（る）